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レストランのコンセプト

80年代のスペイン料理店|人を惹きつけるコンセプト

80年代のスペイン料理店|人を惹きつけるコンセプト

これまでに、

「このレストラン、素敵だわ〜」

といった感動の瞬間を覚えていますか?

私は忘れもしません。

数多くの感動の瞬間はありましたが、1番は高校生の頃に母に連れて行ってもらった、沖縄県北谷町にあったスペイン料理店でした。

ときは、バブルの頃です。

パエリヤ 魚介類

スペインレストラン「コスタブランカ」との出会い

どんな理由だったか覚えていませんが、高校生だった私は、珍しく、母に隣町の海辺にあるおしゃれなスペイン料理のレストランに連れて行ってもらいました。

それが、

COSTA BLANCA(コスタブランカ)

でした。

漆喰のその建物は、異国情緒溢れていました。

おしゃれなカフェやレストランがあまりなかった当時の沖縄では、かなり有名だったのではないでしょうか。

北谷町美浜から眺める宮城海岸。この写真の中央にCosta Blancaがありました。

コスタブランカの第一印象

初めてその空間に立ち入ったとき、特に覚えているのは、
隣の席に座るお客様の洗練された美しさと
天井(三角屋根なので斜め)に映し出された窓の影のかっこよさでした。

食べたものは全く覚えていませんが、別世界のような空間の印象がかなり衝撃的でした。

そんなこんなで、それから10年ほど経ち、大学卒業後の私は憧れだったコスタブランカでアルバイトすることが叶いました。

週末はいつも満席の人気の秘密は?

平日は閑散となるときはあるものの、週末は常に満席。
予約でいっぱいです。

予約なしでいらしたお客様に
『申し訳ありません、本日は満席です』
と謝って帰っていただいたのもつかの間、同じお客様が予約なしに次の週末にも現れたときには互いに苦笑してしまいました。
(もちろん満席でした苦笑)


このように、インターネットの普及もない中、口コミやリピーターで流行った、数少ないお店の一つだったと思います。

そこから垣間見えるのが、この魅力的な演出を実現していた土台が明確なコンセプト設計だったのではないかと。

外観、内装、そしてメニューやサービスの統一感

外観のスペイン風な建物はもちろん、スペイン料理のパエリヤがメニューに並び、東京に特注していたハモンセラーノが塊でカウンターに飾られていました。

オーダーするときの声掛けにスタッフは全員スペイン語を使っていたり・・笑


そして、漆喰の壁には、スペインの独特な装飾が施された絵皿がいくつも飾られていました。

全て、一貫して

「ここは、コスタブランカ。スペインの白い海岸。
 ここに訪れるお客様には、スペインの風を感じていただこう。」

という思いが伝わりました。

サングリア

コンセプトデザインの背景にあったものは。

実は、このお店の成り立ちを私は知らなかったのです。

知っていたのは、アパレルメーカーがオーナーであることだけ。
実際、初めての飲食業で苦労されていたのかもしれないですね。

アパレルメーカーだからこそ、デザイン性=価値観の表現やコンセプトにきちんと向き合い、こだわり、言語化し、あらゆる場面において、コンセプトに沿って選択されたのだと、勝手に想像しております。

全く前例のない分野(ここでは沖縄のスペイン料理出店)に飛び込んだこと、そして、「こうしたら儲かるはず。」という意図を感じさせないところが素晴らしいですよね。
この点が魅力的かつ独創的なコンセプトにつながったのだと思いました。

業種に限らず、ビジネスをされている皆様に質問です。

どのような世界観やこだわりをお持ちですか?

とっておきの顧客体験を演出するような独自のコンセプトを見つけたいですね。


追記:私がアルバイトをしていた1997年夏、大きな台風がきました。
そのとき、海岸沿いのコスタブランカは様々な被害に遭います。私の記憶に残っているのは、エアコンの室外機が飛ばされてしまったことです。
お店は数ヶ月間、クーラーのない状況で営業したこともありました。
同じ年の9月、閉店を迎えることとなりました。