[ Interview ]

空飛ぶジャム屋さんの
フルーツレスキュー

ジャム作りの文化を広めて
農家さんを応援したい

20240227

詩ノ庵パッションフルーツジャム

Guest_Ayami Kinusa (Shinoan Academy)
Photography_
Interview & Text_Kaoru Shinjo (NDK-Design)

日本国内初の、ジャムに特化した教室「詩ノ庵アカデミー」を主宰している絹紗彩望さん。 研究熱心さがゆえ、独自のレシピを試行錯誤しながらオリジナルジャムを製造販売しているかたわら、ジャムの作り方を教えていらっしゃいます。沖縄独特のトロピカルフルーツをはじめ、季節の果物を用いた彩り豊かなジャムを展開しています。

ジャム教室を自宅でスタートしたのが2006年。その後、工房をオープンしたのが2014年。2024年の今年で受講者数は延べ1,032名。工房は10年を迎える。続けられた秘訣やジャム作りへの思いを聞きました。

ジャムで食卓をカラフルに

「私は全国各地で旬の果物を使ったジャムを作れる人が増えて、食卓をカラフルに彩ってほしいです。それは多くの方に農作物の大切さや美味しさを各家庭の食卓で楽しむことで、農家さんを応援したいと思っているからなんです。

以前から、市場に出回らない規格外の農作物たちはどうなっているのかな?と気になっていました。農家さんに聞いてみると、値段がつかない規格外の野菜や果物は、周りの知人に譲ったり、土に返しているとのこと。そこで2020年にジャムを通じてフードロス対策の一環で、廃棄する野菜や果物を有効活用する取り組みをはじめました。

せっかく農家さんが心を込めて作った農作物が廃棄されるのはもったいないし、大変そうな農家さんを見て応援したいと思ったんです。
それには、昔からの保存食であるジャムが作れると良いと思いました。私がジャムを作って販売量を増やすのではなく、農家さんはもちろん、作れる人を増やすことでフードロス対策になりますよね。また、私が農家さんとつながることで、廃棄される野菜や果物をジャム教室の受講生さんにも提供できるようになりたいと考えました。」

―お菓子教室は多いものの、ジャムに特化した教室は珍しい。実際、どんな方が受講されているのでしょうか。―

「ジャムに興味を持っている人なので、基本、食べること大好きな人ばかりです(笑)。
その中にはパン教室やハーブ教室をされていたり、農家さんが六次産業化を見据えて受講されることもあります。私はジャムが作れるようになった先にはビジネスとしてジャム製造や教室を主宰し仕事の一つとして採用してほしいと思っています。」

インストラクター生
ジャムインストラクター

―ジャムを好きになったきっかけは?―

「小さい頃から甘いものが好きでした。初めて手作りでジャムを作ったのは大学生の時。
新聞でレシピを見て、友達へのクリスマスプレゼントとして作りました。少しずつだけど配ったところ、みんな喜んでくれて。」

―ジャム作りの魅力は?―

「周りの人は、ジャム=甘い=体に悪いというイメージがあるようです。
だけど、ジャムを手作りにすることで糖度を自分でコントロールできます。」

―ジャム作り教えてるのは大変?―

「一番楽しいですよ。洗い物が少ないのも魅力です。使う道具はお鍋ひとつとバーミックスくらいかな。」

詩ノ庵ジャム4つ

日本各地で
ジャム文化を広めるために。

彩望さんは、製造することよりも教えることが向いていると自身で自覚しています。本人も日本中を飛び回り、様々な方から技術を習得している勉強熱心な面もあり。元々ピアノの先生だったことで教える技術も身についているのでしょうね。

今後は、「空飛ぶジャム屋さん」として、日本各地でジャム文化を広めていきたい。と希望に満ちたお顔で語ってくださいました。

ジャムを通じたフルーツレスキュー

ちなみに、好きな果物は?と聞いたところ、
「パイナップルと梨ですね!」
だそうです。
奇遇にも、現在、Food Rebornさんからの委託で、廃棄予定のパイナップルを使ってパイナップルジャムを製造しているそう。

2023年8月17日のパイナップルの日にスタートしたパイナップルジャムの販売は2024年二月現在でおよそ70個販売され、救ったパイナップルは20kg!

彩望さんのフルーツレスキュー活動はどんどん広がっています。

パンケーキとタンカンジャム

詩ノ庵アカデミーでは定期的にジャム教室やお菓子教室をオンラインでも開催しています。
ジャム作りに興味のある方はこちらを御覧くださいませ。
【詩ノ庵アカデミーHP】